尾崎人形は神崎町西分地区に伝わる焼き物の人形で、佐賀県内陶磁器に中で最も歴史的に古く伝統を残しています。
土のぬくもりを感じさせる佐賀の伝統玩具で、素朴な「ホー、ホー」という笛の音色は一つ一つ違っていて、それぞれが独特の哀愁を感じさせます。
中でも鳩笛はテテップウと呼ばれて子供の人気者でした。
鳩笛は全国の土焼人形産地にはよく見られますが、首を少し横に向いた姿は他にはあまり見られない特徴です。
伝承によると「弘安4年(1281年)蒙古が襲来した元寇(公安の役)の際、捕虜になった蒙古軍の兵隊が人形を作って吹き鳴らし、遠い祖国を偲んだ。そして技術は地元民に伝わり、焼き物が盛んになった。」と伝えられています。
この焼き物はやがて尾崎焼として、瓦・火鉢・鉢物類を焼くようになり、江戸時代には佐賀藩から幕府への献上品の一つになっています。尾崎焼の人形作りは、一時途絶えた時期もありましたが、尾崎西分地区の「尾崎人形保存会」の手によって再興され、現在も存続されています。